育成就労2027年4月スタート|転籍で人材が抜けたらどう補充するか 企業の準備リスト
育成就労2027年4月スタート|転籍で人材が抜けたらどう補充するか 企業の準備リスト
「せっかく3年育てた人が、2年目で他社に移れるようになる」。2027年4月に施行される育成就労制度について、東海・関東の製造業から最も多く受ける懸念がこれです。
結論から言えば、転籍は止められません。企業側が備えるべきは、抜けないようにすることと、抜けたときに素早く埋めることの両方です。この記事は後者を中心に整理します。
先に結論:備えるべきは「定着」と「補充ルート」の二本立て
| 論点 | 従来(技能実習) | 育成就労(2027年4月〜) |
|---|---|---|
| 転籍 | 原則不可 | 同一分野内で1〜2年経過後に可 |
| 仲介 | 監理団体経由 | ハローワーク・職業紹介事業者の活用可 |
| 期間 | 最長5年(1〜3号) | 原則3年 |
| 日本語要件 | 原則なし | A1相当の試験合格または講習修了 |
※2026年9月時点の情報です。施行までに運用の詳細が変わる可能性があります。
転籍はいつから、どんな条件で認められるのか
育成就労法では、転籍のルートが2つ整理されています。一つは従来からある「やむを得ない事情」による転籍、もう一つが新設の「本人意向」による転籍です。
本人意向による転籍には、同一の業務区分内であること、同一機関での就労が一定期間(1〜2年、分野ごとに設定)を超えていること、技能と日本語の水準を満たしていることなどの要件が想定されています。1〜2年の制限期間は、受入企業の初期投資を保護する趣旨で設けられたものです。
詳しい制度の全体像は育成就労制度とは?2027年4月施行で解説しています。
なぜ「補充ルート」を先に作っておく必要があるのか
転籍が制度として認められる以上、一定割合の離職は避けられません。現在の特定技能で、その規模感を確認できます。
| 指標 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 自己都合退職後に特定技能内で転職 | 30.3% | 制度運用状況 |
| 自己都合離職率(全分野平均) | 16.1% | 同上 |
| 飲食料品製造業の離職率 | 19.3% | 同上 |
| 建設の離職率 | 12.1% | 同上 |
重要なのは、辞めた人の約3割が同じ制度内で別の会社へ移っている点です。つまり、市場には「他社を辞めた即戦力」が常に流れています。自社から人が抜けるリスクと、他社から人を採れる機会は、同じ制度の裏表です。
補充の3ルートを比較する
| ルート | 着任までの目安 | 初期費用の目安 |
|---|---|---|
| 国内の特定技能転職者 | 1〜3か月 | 約22〜44万円 |
| 海外から新規採用 | 半年前後 | 約40〜110万円 |
| 育成就労からの転籍受入 | 要件確認しだい | 2027年4月以降に運用開始 |
2027年3月までは、国内の特定技能転職者が最も現実的な補充ルートです。施行後は、育成就労の転籍受入が第3のルートとして加わります。転籍の仲介に職業紹介事業者を使えることが明記されている点は、企業にとって実務上大きな意味を持ちます。
国内転職者の採用実務は特定技能「国内転職者」採用ガイドにまとめています。
よくある誤解3つ
誤解1:「2027年4月から技能実習生が一斉に移動する」
施行前から在留している技能実習生については、一定期間は従来どおりの在留を継続できる経過措置が設けられる見込みです。ある日突然全員が動くわけではありません。ただし新規受入は原則として育成就労に切り替わります。
誤解2:「転籍を禁止する契約を結べばよい」
制度上認められた権利を契約で封じることはできません。就業規則や雇用契約で転籍を制限する条項を置いても、無効と判断されるリスクがあります。取るべき対策は制限ではなく、処遇と職場環境の改善です。
誤解3:「日本語教育は今までどおりでよい」
育成就労では、就労開始前にA1相当の試験合格または相当時間の講習修了が求められ、特定技能1号へ移行する段階でA2相当が必要になる見込みです。日本語教育は努力義務ではなく、受入体制の要件の一部になります。
BIGLIGHTの現場から
BIGLIGHTは名古屋を拠点に、250名以上の特定技能人材を支援し、70社以上の企業と取引している登録支援機関・有料職業紹介事業者です。転籍の話題で企業から相談を受けるとき、いつも同じ2点をお伝えしています。
一つ目は、転籍されるのは「給料が低い会社」だけではないということです。相談の現場で多いのは、指示が伝わらない、相談相手がいない、将来の見通しが示されていない、という3つです。賃上げより先に、定期面談とキャリアの説明を整えるほうが費用対効果は高いことが多いです。
二つ目は、補充の入口を今のうちに一つ確保しておくことです。2027年4月に慌てて紹介会社を探すより、2026年のうちに国内転職者の採用を1名でも経験しておくほうが、業務区分の確認から在留資格変更までの段取りが社内に残ります。
定着支援の考え方は登録支援機関を利用するメリットもあわせてご覧ください。
2026年のうちにやる準備リスト
- 自社の分野が育成就労の対象17分野に含まれるか確認した
- 現在の技能実習生の在留期限と、経過措置の適用範囲を整理した
- 日本語教育の実施体制(講習・教材・費用負担)を検討した
- 外国人雇用管理を担当する社内の責任者を決めた
- 自社の業務が特定技能のどの業務区分に当たるか確認した
- 国内転職者の採用を1名でも経験し、手順を社内に残した
- 定期面談の頻度と記録方法を決めた
- 賃金テーブルを日本人従業員と横並びで点検した
まとめ
育成就労は2027年4月1日施行で、同一分野内・1〜2年経過後の本人意向による転籍が認められます。転籍は制限できないため、企業がやるべきは定着の改善と、補充ルートの確保です。2027年3月までは国内の特定技能転職者が最も早い補充手段であり、そこで得た手順がそのまま施行後にも使えます。
※本記事は2026年9月時点の公表情報に基づきます。施行までに省令等で運用が変わる可能性があるため、最新情報をご確認ください。
育成就労への移行準備、転籍時の補充採用についてのご相談を承っています。BIGLIGHT株式会社(登録支援機関 21登-006596/有料職業紹介 23-ユ-302414)。無料相談はお問い合わせフォーム、またはTEL 052-908-7944(平日9:00〜18:00)へ。
