特定技能「国内転職者」採用ガイド|海外採用と費用・期間・定着率を比較【2026年】
特定技能「国内転職者」採用ガイド|海外採用と費用・期間・定着率を比較【2026年】
「特定技能を採りたいが、海外から呼ぶと半年待ち。来月から人が欲しい」。東海・関東の製造業や建設業から、この相談が2026年に入って目立って増えました。
答えは一つです。すでに日本国内で働いている特定技能人材(転職者)を採用する。この記事は、その方法を費用・期間・リスクの順に整理したものです。
先に結論:国内転職者の採用は「半額・3分の1の期間・即戦力」
| 比較項目 | 海外から採用 | 国内転職者を採用 |
|---|---|---|
| 初期費用の目安 | 約40〜110万円 | 約22〜44万円 |
| 就労開始まで | 半年前後 | 1〜3か月 |
| 主なリスク | 入国手続きの遅れ | 前職の退職手続き・書類不備 |
※費用は人材紹介会社・登録支援機関の公表相場(2026年時点)。
国内転職者の採用が向いているのは、次のいずれかに当たる企業です。
- 3か月以内に現場へ人を入れたい
- 日本語で日常の業務指示ができる人が欲しい
- 初めて特定技能を受け入れるので、まず1〜2名で試したい
逆に、10名以上をまとめて同時期に入れたい場合は、海外採用との併用が現実的です。
特定技能人材はどれくらい転職しているのか
「転職者を採る」と言っても、そもそも市場に人がいなければ話になりません。数字を確認します。
| 指標 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 特定技能在留者(1号+2号) | 416,947人 | 2026年3月末速報 |
| 1年間の増加数(1号) | 92,838人 | 2025年6月末→2026年6月末 |
| 退職後に特定技能内で転職した割合 | 30.3% | 制度運用状況 |
つまり、辞めた人の3人に1人は、特定技能のまま別の会社へ移っています。帰国する人(31.4%)とほぼ同じ規模です。この層が「国内転職者」の供給源です。
分野別に見る採用しやすさ
| 分野 | 1号在留者数 | ベトナム人の割合 |
|---|---|---|
| 飲食料品製造業 | 100,769人 | 約59% |
| 工業製品製造業 | 62,033人 | 約57% |
| 建設 | 約50,000人 | 約61% |
出典:出入国在留管理庁「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数(令和7年12月末)」
東海・関東に候補者が集中している
都道府県別では愛知県が30,605人で全国1位、東京・埼玉・千葉・神奈川がそれに続きます(2025年12月末)。東海・関東に工場や現場がある企業は、通勤圏内に候補者がいる状態です。
費用の内訳:どこで差がつくのか
「海外採用は高い」と言われますが、何にいくらかかるかを分けると差の理由がはっきりします。
海外採用でかかり、国内採用でかからない費用は3つです。送出機関への手数料(10〜70万円)、渡航費(5〜10万円)、在留資格認定証明書の申請代行(10〜20万円。国内は「変更」申請で3〜6万円程度が相場)。
両方で共通してかかるのは、人材紹介手数料(30〜60万円、または理論年収の20〜35%)、登録支援機関への支援委託費(月2〜4万円、全国平均約2.8万円)、住居準備費(社宅の有無で0〜40万円)です。
ここで注意点を一つ。国内転職者だからと言って、紹介手数料が安くなるとは限りません。安くなるのは送出機関費用と入国関連費用であって、紹介会社の手数料は「人を見つけて、面接を調整し、在留資格の変更まで通す」対価だからです。見積もりを比べるときは、手数料の率ではなく、変更申請の代行がどこまで含まれるかを確認してください。
期間の内訳:1〜3か月で何が起きるか
- 求人票の作成・紹介(1〜2週間)。報酬は日本人と同等以上が必須要件です
- 面接・内定(1〜2週間)。前職在籍中の候補者が多く、平日夜や土曜の面接が現実的です
- 書類準備(2〜4週間)。ここが最も遅れやすい工程です
- 在留資格変更許可申請・審査(1〜2か月)。地方出入国在留管理局によって差があります
- 許可が出てから就労開始。許可前に働くことはできません
合計で早くて1か月半、通常2〜3か月です。在留資格変更の審査中はアルバイトも認められないため、候補者が前職を辞めるタイミングは慎重に調整する必要があります。BIGLIGHTでは内定後も前職に在籍したまま申請する段取りを基本にしています。
よくある失敗3つ
失敗1:候補者に「先に辞めてもらう」
内定を出した企業が早く来てほしいと退職を促し、候補者が先に退職。ところが書類不備で申請が1か月遅れ、候補者は無収入のまま待つことになりました。本人が不安になり、別の会社の内定を受けて辞退。対策は、在籍中に申請し、許可日を見込んで退職日を決めることです。
失敗2:業務区分の確認漏れ
「製造業ならどれでも同じ」と考え、前職が金属プレスの人を塗装で採用しようとしたケース。業務区分が異なると、区分間の技能水準の共通性が確認されていない場合は新たに技能試験が必要です。求人票を作る前に、自社の業務が特定技能のどの業務区分に当たるか確認してください。
失敗3:前職の会社から書類が出てこない
在留資格変更には、前職の源泉徴収票や住民税の課税・納税証明が必要になることがあります。円満退職でない場合、前職が書類を出し渋り、審査が止まりました。内定時に必要書類を候補者へリスト化して渡し、取得できない書類は役所での直接取得など代替手段を先に確認しておきます。
BIGLIGHTの現場から
BIGLIGHTは名古屋を拠点に、250名以上の特定技能人材を支援し、70社以上の企業と取引しています。現場で毎日相談を受けていて感じることを3点だけ書きます。
第一に、転職希望者の相談で最も多いのは「給料」ではなく「情報がない」ことです。給料への不満は確かに多いのですが、相談の入口は「今の会社を辞めたら在留資格はどうなるのか」「次の会社をどう探せばいいのか分からない」です。情報を正しく伝える企業・紹介会社が、結果として良い人材を採れています。
第二に、「日本語ができる人」の定義を面接前に決めてください。N4合格と「現場で指示が通る」は別物です。面接時に自社の実際の作業指示を日本語で読んでもらう、あるいは現場責任者が直接話す時間を取ることをお願いしています。
第三に、2027年4月以降、転職市場は確実に大きくなります。育成就労制度の施行で、1〜2年経過後の転籍が本人の意向で認められ、転籍は職業紹介事業者を通じて行うことが認められる見込みです。「転職者を採る力」は、2027年以降の外国人採用の基本能力になります。制度の詳細は育成就労制度とは?2027年4月施行をご覧ください。
支援体制の考え方については登録支援機関を利用するメリット、制度の比較は技能実習生と特定技能1号の違いで解説しています。
採用前チェックリスト
- 自社の業務が特定技能の「分野」と「業務区分」のどれに当たるか確認した
- 報酬が同じ業務の日本人従業員と同等以上になっている
- 登録支援機関に委託するか、自社支援するかを決めた
- 面接は候補者の前職在籍中に実施できる時間帯を用意した
- 在留資格変更に必要な書類リストを候補者へ渡した
- 許可までの期間を見込んだ入社日を設定した
- 前職の会社が行うべき届出について候補者に説明した
- 入社後の定期面談・生活支援の担当者を決めた
まとめ
特定技能の国内転職者採用は、海外採用と比べて初期費用が約半分、就労開始まで1〜3か月が目安です。辞めた人の約3割が特定技能内で転職しており、供給源は東海・関東に集中しています。失敗の原因はほぼ「先に辞めさせる」「業務区分の確認漏れ」「前職の書類」の3つに絞られます。2027年4月の育成就労施行で、転職者採用は外国人採用の基本能力になります。
※本記事の統計は出入国在留管理庁公表資料(2026年3月末速報・2025年12月末確定値)に基づきます。費用相場は2026年時点の各社公表値です。
東海・関東で特定技能の転職者採用をご検討の企業様へ。BIGLIGHTは名古屋の登録支援機関(21登-006596)・有料職業紹介事業者(23-ユ-302414)です。業務区分の確認から求人票作成、面接調整、在留資格変更申請、入社後の支援まで一括で対応します。無料相談はお問い合わせフォーム、またはTEL 052-908-7944(平日9:00〜18:00)へ。
