飲食料品製造業の特定技能採用|最多10万人の分野で離職を防ぐ実務
飲食料品製造業の特定技能採用|最多10万人の分野で離職を防ぐ実務
飲食料品製造業は、特定技能で最も多くの外国人が働いている分野です。同時に、自己都合離職率が19.3%と平均を上回る分野でもあります。
採れるけれど、残らない。この記事は、その構造の理由と、現場で打てる手を整理したものです。
先に結論:採用より定着のほうが難しい分野
| 項目 | 数値 | 全分野での位置 |
|---|---|---|
| 1号在留者数 | 100,769人 | 1位(構成比23.7%) |
| 受入見込数(5年) | 139,000人 | 達成率 約72% |
| 自己都合離職率 | 19.3% | 平均16.1%を上回る |
| 2号在留者数 | 3,402人 | 1位 |
受入枠の達成率が約72%まで進んでいる点にも注意が必要です。工業製品製造業(約36%)と比べると、枠の余裕は小さくなっています。
なぜ離職率が高いのか
現場で理由を聞くと、この分野に固有の条件が繰り返し出てきます。
夜勤とシフト。コンビニ向けの惣菜や弁当は深夜稼働が多く、生活リズムが安定しません。友人と休みが合わないことが孤立につながります。
低温環境。水産加工や食肉加工の現場は冬場に厳しく、体調を崩す人が出ます。
作業の単調さ。定型作業が多いため未経験でも入りやすい反面、3年目以降に「このままでいいのか」という不安が出やすくなります。
逆に言えば、この3点に手を打てば他社との差がつきます。単調さへの答えが、後述する2号へのキャリアパスです。
国籍構成から見える採用のしやすさ
| 国籍 | 人数(1号) | 構成比 |
|---|---|---|
| ベトナム | 55,372人 | 約59% |
| インドネシア | 19,593人 | 約21% |
| ミャンマー | 4,739人 | 約5% |
| フィリピン | 3,769人 | 約4% |
出典:出入国在留管理庁「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数(令和7年12月末)」
ベトナムとインドネシアで8割を占めます。支援体制を組むときは、この2言語への対応を優先するのが現実的です。
業務区分の確認
飲食料品製造業の業務区分は「飲食料品製造業全般」で、酒類を除く飲食料品の製造・加工、安全衛生が対象です。区分が1つにまとまっているため、工業製品製造業のような細かい照合は不要ですが、次の2点は確認してください。
一つ目は、事業所が対象となる業種に該当するかどうかです。スーパーのバックヤードや飲食店の厨房は、外食業の区分になる場合があります。
二つ目は、関連業務の扱いです。清掃や原材料の運搬といった作業は、日本人が通常従事する範囲で付随的に行うことは認められますが、それだけに従事させることはできません。
離職を防ぐ4つの実務
1. シフトを事前に長く出す
2週間先までしか出ないシフトでは、帰国の航空券も、友人との予定も組めません。1か月先まで確定させるだけで、生活の見通しが立ちます。
2. 低温環境の装備を会社が用意する
防寒インナー、手袋、防水ブーツを自費で買わせている現場があります。金額としては小さいですが、扱われ方の印象に直結します。
3. 2号への道筋を1年目に示す
飲食料品製造業の2号は3,402人と全分野で最多です。試験に合格し実務経験を満たせば、在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば家族帯同も可能になります。「3年目に試験を受けてもらう」と最初に伝えるだけで、単調さへの答えになります。
4. 定期面談で生活面を必ず聞く
夜勤がある分野では、体調と睡眠の話を面談項目に入れてください。定着対策全般は特定技能外国人が辞める本当の理由で整理しています。
BIGLIGHTの現場から
BIGLIGHTは名古屋を拠点に、250名以上の特定技能人材を支援し、70社以上の企業と取引しています。食品工場の求人を扱っていて感じるのは、条件の書き方ひとつで応募数が変わるということです。
「食品製造スタッフ」とだけ書かれた求人と、「ちくわ製造・individual個室寮あり・日勤のみ」と書かれた求人では、後者に応募が集まります。夜勤の有無、寮が個室か相部屋か、手取りがいくらか。この3点は求人票に必ず書いてください。応募者が最初に確認するのはこの3つです。
もう一つは、離職の相談を受けるタイミングです。「辞めたい」と言われた時点では、すでに次の会社を見ている場合が多い。その手前、シフトの不満や体調の話が出た段階で対応できるかどうかが分かれ目です。
採用手順は特定技能「国内転職者」採用ガイド、費用は特定技能の採用コストを全公開をご覧ください。
採用・定着チェックリスト
- 自社の事業所が飲食料品製造業の対象業種に該当するか確認した
- 関連業務だけに従事させる計画になっていないか確認した
- 求人票に夜勤の有無・寮の形態・手取り額を明記した
- ベトナム語・インドネシア語の相談窓口を用意した
- シフトを1か月先まで確定して共有している
- 低温環境の装備を会社負担で支給している
- 2号取得までの道筋を1年目に本人へ説明した
- 定期面談で体調と睡眠を毎回確認している
まとめ
飲食料品製造業は特定技能1号が100,769人と最多で、2号も3,402人と最も多い分野です。一方、自己都合離職率は19.3%と平均を上回ります。夜勤・低温・単調さという分野固有の条件に、シフトの事前確定、装備の会社負担、2号へのキャリア提示で応えられるかが、定着の分かれ目になります。
※統計は出入国在留管理庁公表資料(2026年3月末速報・2025年12月末確定値)に基づきます。
食品工場の特定技能採用・定着支援についてのご相談を承っています。BIGLIGHT株式会社(登録支援機関 21登-006596/有料職業紹介 23-ユ-302414)。無料相談はお問い合わせフォーム、またはTEL 052-908-7944(平日9:00〜18:00)へ。
